ビバリーヒルズの一等地に日本食旋風 その2
ビバリーヒルズの目抜き通りであるラシエネガ(La Cienega)でますます存在感を高めている日本食レストラン群。

2006年秋には東京食堂という、日本の居酒屋とファミリーレストランを融合したような店がオープンした。周りを高級店に囲まれる中、同店は低価格の大衆的なメニューを、お洒落な雰囲気で提供している。

同店の経営母体であるドリーム・ダイニング・カリフォルニアLLCの代表は、ワタミの元専務である江村哲也氏。ワタミを退職後ハワイで食堂というレストランを手がけ、その後カリフォルニアにも進出した。

そして今、大きな話題となっているのが権八だ。日本の権八を忠実に再現した内装で、総面積1000平方メートルという大名屋敷のような2階建ての建物をこのラシエネガ沿いにつくりあげた。経営母体のグローバル・ダイニングは敷地を数年前に購入し、総工費20億円以上をかけて今年3月オープンにこぎつけた。

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同社はすでにモンスーン・カフェやラ・ボエムといった日本の人気店をロサンゼルスでも経営しているが、今回、この一等地に大規模な権八を仕掛けて大きな飛躍を狙っている。日本食の人気は留まるところを知らないが、日本のお洒落な居酒屋というコンセプトがビバリーヒルズでも受け入れられるだろうか。

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そしてもう1つ大きな話題がある。それは松久信幸氏が間もなくこの通りにノブ(Nobu)をオープンすることだ。場所はマツヒサから北に車で5分ほどと近く、昨年末に閉店した老舗のフランス料理店、オランジェリー(l'Orangerie)を改装して現在建築中だ。ロサンゼルスのベルサイユとも呼ばれ、地元社交界の中心だったオランジェリーは、多くの人に惜しまれて閉店となったが、それよりも松久氏のグループがその不動産を買い取り、ノブを開店するというニュースが地元に大きな衝撃を与えることになった。

ラシエネガ通りは、かつては高級の代名詞であったフランス料理店が軒を連ねていた。しかし、アメリカ人の好みや食文化の変化とともにフランス料理の人気は下降し、代わりに日本食が人気と実力をつけてきた。このラシエネガ通りで栄耀栄華を極めたオランジェリーが閉店し、ノブが取って代わったことは、現代のアメリカの食事情を象徴する大きな出来事なのである。

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ビバリーヒルズの一等地に日本食旋風 その1
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ビバリーヒルズにラシエネガ(La Cienega)という目抜き通りがある。ここは市が「レストラン街」の看板を立ててしまうほど有名店や高級店が軒を連ねる通りで、ロサンゼルス飲食業界のトレンド発信地でもある。

そのラシエネガ通りで今、最も大きな存在となっているのが日本食だ。ここに出店した最初の日本食レストランは、鉄板焼きを主体とする日本食を全米に広めたベニハナで、オープンは1971年と36年前まで遡る。ベニハナは今も健在で、日本食に限らずこの界隈の老舗となっている。

80年代から90年代にかけて投資目的でレストラン事業を始める日本企業が相次いだが、バブル崩壊後にみな撤退している。そういった流れとは全く別に、現地で活躍するシェフが1987年にこの通りに開店したレストランがマツヒサだ。いまや世界に知られるスターシェフとなった松久信幸氏は、この店を通じてアメリカにおける日本食のステータスを高めた。その後、氏がロバート・デニーロの目に留まり、投資を受けて世界各地にノブを出店したことは、あまりにも有名なエピソードだ。

2000年以降は、日本で実力をつけた外食大手が進出する姿が目立つ。たとえば牛角。「Japanese BBQ Dining」というコンセプトでお洒落なバーベキューハウスとして売り出し、「yakiniku」というスタイルを広めることに成功した。今日、若者の間でyakinikuを食べることはヒップでトレンディと考えられている。

次回は日本食レストランの最新情報とそれが象徴するアメリカの飲食事情を紹介する。

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ショッピングセンターの動向 その3
アメリカのショッピングセンターには実に多種多様なテナントが入居し、あらゆる商品やサービスが売られているが、その枠が自動車に広がり始めた。

ロサンゼルス郊外のショッピングモール、アーバイン・スペクトラム・センター(Irvine Spectrum Center)に昨年、サリーン(Saleen)のディラーがオープンした。サリーンはフォード・ムスタングのアフターマーケット/カスタマイズを手がけて成長した企業で、現在は自社ブランドの車を製造・販売し、一自動車メーカーとして活躍している。そのサリーンが初の直営ディーラー「サリーン・ストア」のロケーションとして選んだのがスペクトラムだった。

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サリーン・ストア外観。フリーウエイからこのサインが見えるモール内の絶好のロケーションを確保した。

ショッピングモール内に車のショールームを設置し、新車の展示を行うことは決して珍しくないが、サリーン・ストアでは普通のディーラーと同じように試乗を行い、実際にここで車を販売している。これはアメリカでも新しい試みだ。車の在庫はスペクトラムの広い駐車場に保管されている。

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車の前には「Test drive and take me home today」(試乗して今日お持ち帰り下さい)の表示が。単なる展示ではなく、実際に販売していることを強調している。

モールの集客効果を活かしてイベントやキャンペーンを行ったり、ストア内でサリーン・グッズを販売したり、お洒落なドリンクバーを設けたりして、誰もが気軽に立ち寄ることのできるオープンなディーラー環境を作り出している。

マニア向けのスポーツカー、レースカーではあるが、ショッピングモールでの自動車販売は、新規顧客の開拓と認知度の向上につながる新しい戦略で、今後こういった販売方法が広まっていくと見られている。

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ショッピングセンターの動向 その2
前回はショッピングセンターにおけるアンカーストアの存在について書いたが、今回はそれと正反対の「キオスク」を紹介しよう。

大型のショッピングモールにテナントとして入るには、信用や売上が確立されていないと難しい。しかし、モール側はスモールビジネスにも出店の機会を与えるために、キオスクという形態を導入するようになった。

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中央の通路に配置されたキオスクは、アメリカのショッピングモールでは一般的。

キオスクは屋台型のカートに商品やサービスを陳列し、モールの通路で営業する小売店だ。リース料は月数万円からと低めに設定されていて、スタートアップのビジネスでも手が届く金額となっている。大きな初期投資も必要ない。キオスクが売るものは、アクセサリー、小物、衣類、携帯電話、おもちゃ、飲食物、マッサージサービス、不動産サービスなどさまざまだ。

モール側にも、通路という空きスペースを有効利用して、小口の売上をたくさん上げるというメリットがある。そしてスモールビジネスにここで成長してもらい、ゆくゆくは本テナントとして入ってもらうことを期待している。ビジネスを育てることで自分たちの利益につなげる・・・これは実にアメリカらしいやり方といえる。

日本ではショッピングセンター入居のハードルがまだまだ高いが、キオスクのようなクッションがあれば、小売業により新規参入の機会が与えられ、そこから新たなビジネスの発展につながるのではないだろうか。

集客力の高いアンカーストアやこれから成長が見込まれるキオスクなど、多様なテナントを入れてメリハリをつけるのも、アメリカのショッピングモールの戦略である。


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ショッピングセンターの動向 その1
日本では3月にららぽーと横浜流山おおたかの森S・Cなどがオープンし、新しいタイプのショッピングセンターが話題となっている。

注目すべきは、これまで百貨店として家主の立場をとってきた大丸が、ららぽーと横浜でテナント側にまわったことだ。日本の百貨店は不動産業としての役割が大きいが、アメリカのデパートは不動産開発を専門業者に任せ、自らはショッピングセンター(ショッピングモールともいう)のテナントとして小売業に徹しているところが多い。大きなショッピングモールにデパートが3〜4店舗入っていることも珍しくない。

アメリカの典型的なモールは、デパートや大規模な小売チェーンがアンカーストア(anchor store)として四方を固め、中央に個々の小売店や飲食店が入居するというフォーマットをとっている。さらにデパート内にブランドやショップがサブリースで入っている。アンカーストアの存在は大規模モールの経営に欠かすことができない。すでに確立されている小売チェーンは集客力があり、結果として客を他店に誘導することができるからだ。そのため、こういったアンカーストアはモール側から多大なインセンティブを受けている。

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サンフランシスコの一等地に昨年オープンしたWestfield San Francisco
アンカーストアはBloomindale'sNordstromという高級デパート2店。


日本の百貨店とアメリカのデパート(department store)は歴史や発展において異なる点が多いが、より専門性が求められる今日、日本の百貨店も小売業に力を入れ、不動産は開発会社に任せるというやり方が浸透してもおかしくない。商業施設として比較しても、商品を売るだけの百貨店に対し、上記のような新規モールや東京ミッドタウンのような複合施設は、多様な小売店、サービス、施設を揃えていて、顧客のさまざまなニーズに応えることができる。

百貨店としてのプライドもあるだろうが、これからは自前の施設にこだわるのではなく、知名度とブランド力を生かして他人のハコに入っていくことも戦略となるのではないだろうか。


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